茨城新聞 2011年(平成23年)8月3日 水曜日

県央 すぽっとライト

禁煙列車実現に尽力

元国鉄マンと医師 佐川七郎(さがわ しちろう)さん、宇佐神正海(うさみ まさみ)さん

 

 全国で初めて禁煙列車が登場したのは旧国鉄水戸鉄道管理局(水鉄局、JR東日本水戸支社の前身)管内の常磐線。1982年、ダイヤ改正で、1両のお目見えだった。
その禁煙列車を実現させたのが当時、同局の庶務課長だった笠間市(旧友部町)在住の国鉄OB、佐川七郎さん(86)と、禁煙列車実現を最初に同局に陳情した茨城町在住の東茨城郡医師会長で医学博士、クリニック経営の宇佐神正海医師(79)。
2008年に開かれた旧制磐城中学の同窓会で28年ぶりに再会。その縁で2人を講師に12日、茨城町内で開く学校保健会東茨城部会研修会で、あらためてたばこと健康の問題について警鐘を鳴らす。
陳情した宇佐神さんは1972年、スイス、イギリス、フランスを回った視察で、禁煙列車を目の当たりにしたのがきっかけ。
その陳情を受けたのが庶務課長だった佐川さん。上司の指示で本社に陳情したものの、内部では当初明らかな壁があると感じたという。佐川さんは「私もヘビースモーカーだった。難題と感じた」と振り返った。
それから約2年後、当時の水鉄局長を宇佐神さん提供の肺がんや喉頭がんの写真、医学統計データを使って説得。局長の上層部への根回しで、やっと1両の禁煙列車が誕生した。2年で東京の各鉄道局に広がり、程なく今日の状況になったという。
宇佐神さんは「受動喫煙の被害が最も重い。外来の患者の少なくても3分の1は受動喫煙」とも。
【メモ】県学校保健会東茨城支部研修会は12日、茨城町小提の町総合福祉センター「ゆうゆう館」で開催。演題は「日本初の禁煙列車の出現に至るまで」。

(茨城新聞水戸支社・萩庭健司)